C-01. 組織体のガバナンスについての概念を説明する

CIA_パート1_C(01-08).ガバナンス、リスク・マネジメントおよび コントロール(30%)

a取締役会、最高経営者、内部監査部門及びその他のアシュアランス・プロバイダの役割を説明する
bガバナンスのフレームワーク、原則およびモデルを認識する

ガバナンスとは何か(基本概念)

1-1. ガバナンスの定義

GIASの「用語一覧」において、ガバナンス(Governance)は、以下のように定義されています。

取締役会が、組織体の目標達成に向けて、組織体の活動について、情報を提供し、指揮し、及びモニタリングするために、プロセスと組織構造を併用して実施すること。

この定義は、一般に企業統治を意味するコーポレート・ガバナンスと重なりますが、GIASにおける「ガバナンス」は、営利企業に限らず、非営利組織や公的機関も含む広義の概念である点に留意が必要です。取締役会が存在しない組織においては、最高責任者やそれに準ずる機関が「Board」としての役割を担うと解釈されます。

内部監査においては、ガバナンスはリスクマネジメントや内部統制と並ぶ重要な評価対象であり、組織の健全な運営と目標達成に向けた枠組みとして位置づけられています。

IIA(内部監査人協会)では、ガバナンスを次の要素の総体として捉えています。

  • 組織の目的・価値観・戦略
  • 意思決定の仕組み
  • 監督・モニタリング
  • 説明責任(アカウンタビリティ)

1-2. ガバナンスとマネジメントの違い

区分ガバナンスマネジメント
主体取締役会経営者
視点組織全体・長期日常業務・短中期
役割方向付け・監督計画・執行
キーワードOversightExecution

📌 試験ポイント

ガバナンス=「監督」
マネジメント=「執行」


a. 取締役会、CEO、内部監査部門、その他のアシュアランス・プロバイダの役割を説明する

2. 取締役会(Board of Directors)の役割

2-1 取締役会の本質的役割

GIASの「用語一覧」において、「取締役会(Board)」は、以下のように定義されています。

ガバナンスを担う最上位の機関。例えば、次のものがある。

  • 取締役会(Board of Directors)
  • 監査委員会
  • 理事会または評議員会(Board of Governors or Trustees)
  • 公選職員または政治任用官のグループ(Group of Elected Officials or Political Appointees)
  • 相応なガバナンス機能の権限を有する他の機関

複数のガバナンス機関が存在する組織体では、「取締役会(board)」は、内部監査部門に適切な権限、役割及び責任を付与する権限を認められた1つ又は複数の機関を指す。

上記のいずれもが存在しない場合、「取締役会(board)」は、組織体の最高レベルのガバナンス機関として機能するグループ又は人物を指すものと読むべきである。例えば、組織体の長及び最高経営者が挙げられる。

取締役会は、ガバナンスの最終責任主体です。

主な役割:

  • 組織の使命・戦略の承認
  • 経営者(CEO)の選任・監督
  • リスクと統制の監督
  • 内部監査の独立性の確保

📌 内部監査部門は、
  機能上は取締役会(監査委員会)に報告する(職務上の報告)


3. 最高経営者(CEO / 経営陣)の役割

3-1 経営者の役割

経営者は、取締役会が定めた方向性を実行に移す責任者です。

  • 戦略の実行
  • リスク対応の設計・運用
  • 内部統制の構築・維持
  • 組織文化・倫理の醸成

📌 試験での注意
内部統制の

  • 構築・運用責任:経営者
  • 評価・保証:内部監査

4. 内部監査部門(Internal Audit Activity)の役割

4-1 内部監査の定義(IIA)

GIASの「用語一覧」において、internal auditing〈内部監査〉は、以下のように定義されています。

組織体に価値を付加し組織体の業務を改善することを目的とした、独立にして客観的な、アシュアランス業務及びアドバイザリー業務。 内部監査は、ガバナンス、リスク・マネジメント及びコントロールの各プロセスの有効性を評価、改善するための体系的で、専門職として規律ある手法を用いて、組織体が目標を達成するのを支援する。


4-2 ガバナンスにおける内部監査の役割

内部監査部門は、以下について独立した保証を提供します。

  • ガバナンスの有効性
  • リスクマネジメントの有効性
  • コントロールの各プロセスの有効性
  • 倫理・コンプライアンス体制

📌 重要キーワード

  • 独立性(Independence)
  • 客観性(Objectivity)
  • 職務上の報告ラインは取締役会

5. その他のアシュアランス・プロバイダの役割

5-1 アシュアランス・プロバイダとは

アシュアランス・プロバイダは、組織内外で、統制やリスクに関する保証を提供する主体であり、以下のような部門を指します。

例:

  • コンプライアンス部門
  • リスク管理部門
  • 情報セキュリティ部門
  • 品質管理部門
  • 外部監査人


bガバナンスのフレームワーク、原則およびモデルを認識する

1. 主なガバナンス・フレームワークと原則

1-1 サーベンス・オクスリー法(SOX法, Sarbanes-Oxley Act)

米国における上場企業の財務報告の信頼性向上を目的とした法律(2002年制定)

主なポイント:

セクション302:経営者による財務報告の内部統制に関する責任明記

セクション404:内部統制の有効性評価と開示義務

監査委員会の独立性強化、外部監査人のローテーション義務など

CIA試験では、内部統制の評価、経営者の責任、監査委員会の役割に関連して出題されることがある。

1-2 OECDコーポレート・ガバナンス原則(OECD Principles of Corporate Governance)

OECD加盟国を中心に広く参照される国際的なガイドライン(最新版は2015年)

6つの主要原則:

  1. ガバナンスの枠組みの基盤
  2. 株主の権利と主要機能
  3. 株主の公平な取扱い
  4. 利害関係者の役割
  5. 情報開示と透明性
  6. 取締役会の責任

透明性、説明責任、利害関係者との関係に関する出題に関連。

1-3 キングIVレポート(King IV Report on Corporate Governance)

キングレポートとは、南アフリカにおけるコーポレート・ガバナンスの枠組みを示した原則主義的なガイドラインであり、上場企業に対して法的拘束力を持つ規則として位置づけられています。特に、統合報告(Integrated Reporting)という概念を世界で初めて明示した点で、国際的にも高く評価されています。

初版は1994年に発行され、その後3度の改訂を経て、2016年に「キングIVレポート(King IV)」が公表されました。この最新版では、17のガバナンス原則が提示されており、コーポレート・ガバナンスのベストプラクティスの一つとされています。

特徴

原則主義(Principle-based)のアプローチを採用しています。

「適用し、説明せよ(Apply and Explain)」の原則を掲げており、単なる形式的な遵守ではなく、原則をどのように実質的に適用しているかを説明することが求められます。

提示されている17のガバナンス原則には、以下のようなテーマが含まれています:

  • 倫理的文化の促進
  • 組織価値の創造と保護
  • ステークホルダーとの関係性の強化
  • リスクと機会の統合的管理
  • 統合的思考と持続可能性の重視

上場企業に限らず、非営利組織や公的機関など、あらゆる組織形態に適用可能な柔軟性を持っています。

CIA試験での注目ポイント

CIA試験では、以下のような観点からキングIVレポートが出題される可能性があります:

  • 原則ベースのガバナンスモデルに関する理解
  • 「適用し、説明せよ」の原則と説明責任の重要性
  • 統合的思考や持続可能性の概念
  • 他のガバナンス・フレームワーク(例:OECD原則、SOX法)との比較

2. その他の代表的なガバナンス・フレームワーク

2-1 COSO ERM(Enterprise Risk Management)

  • ガバナンスとリスクマネジメントの統合的枠組み
  • 主要構成要素(2017年改訂版):
    • ガバナンスと文化
    • 戦略と目標設定
    • パフォーマンス
    • リスクレビューと改訂
    • 情報・コミュニケーション・報告
  • ガバナンスとリスクの統合的アプローチとしてCIA試験でも頻出。

2-2 ISO 37000(組織ガバナンスの指針)

  • 国際標準化機構(ISO)によるガバナンスの原則と枠組み(2021年発行)
  • 主要原則:
    • パーパス主導
    • 価値創造
    • ステークホルダーとの関係性
    • 倫理と説明責任
  • 非営利・公的機関も含む広範な組織に適用可能

2-3 IIA 組織ガバナンスに関するThree Lines Model(旧 Three Lines of Defense)

ライン主体役割
第1線業務部門(リスクの所有と管理)リスク対応・統制の実行
第2線リスク管理部門・コンプライアンス機能方針策定・支援とモニタリング
第3線内部監査独立した保証と助言

📌 役割の明確化と協働の重要性が強調されており、CIA試験では頻出。
  内部監査は、経営者の一部ではない

3. まとめ:CIA試験対策の観点からのポイント

フレームワーク/原則特徴試験での注目点
SOX法米国法、内部統制と財務報告の信頼性セクション302・404、監査委員会の役割
OECD原則国際的なガイドライン、6原則情報開示、取締役会の責任、利害関係者対応
キングIVレポート原則主義、持続可能性重視、17原則「Apply and Explain」、統合的思考
COSO ERMリスクとガバナンスの統合組織文化、戦略との整合性、パフォーマンス管理
ISO 37000国際標準、非営利含む倫理、説明責任、価値創造
IIA 3ラインモデル内部監査の役割明確化各ラインの責任、独立性と協働のバランス

8. 試験対策まとめ

超重要ポイント

  • ガバナンス=監督
  • マネジメント=執行
  • 内部監査=独立した第3線
  • 内部統制の責任者=経営者
  • ガバナンスの最終責任=取締役会

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