1. そもそも有限母集団補正(FPC)とは何か
まず思想からです。
無限母集団の前提
統計の多くの基本式は次を前提にしています。
- 母集団は非常に大きい(=無限とみなす)
- 抽出しても母集団の性質はほぼ変わらない
この前提のもとで導かれたサンプルサイズがです。
有限母集団で何が起きるか
母集団が 有限(N件) の場合:
- 1件サンプルを取るたびに
→ 残りの母集団が減る
- 情報量の増え方が
→ 無限母集団より「速い」
つまり:
同じ精度を得るのに、無限母集団ほど多くのサンプルは要らない
これを調整するのが 有限母集団補正(Finite Population Correction: FPC) です。
2. 出発点は「分散」の補正
この式の正体は、もともと 分散の補正式 です。
無限母集団での標本分散(イメージ)
有限母集団での標本分散
有限母集団では、分散は次のようになります:
この
が 有限母集団補正(FPC)係数 です。
3. 「同じ精度」を要求する、がカギ
内部監査の文脈ではこう考えます。
無限母集団で n∞件 取ったときと
有限母集団で n補正件 取ったときの
精度(分散)を同じにしたい
つまり:
4. 数式を整理する(ここが核心)
σ²を消すと:
両辺を整理します。
両辺に n補正n_{\text{補正}}n補正 を掛ける
n∞n補正=N−1N−n補正
両辺を交差計算
両辺を展開
n補正n_{\text{補正}}n補正 をまとめる
5. 最終形( 有限母集団補正(FPC)で使用した式)
分母・分子を N で割ると:
6. 監査の言葉に翻訳すると
この式はこう言っています:
無限母集団前提で25件必要だったサンプルは、
母集団が有限なら
「母集団サイズに応じて割り引いてよい」
よって:
- N=150 → 22件
- N=1000 → ほぼ25件
となる。
7. まとめ
有限母集団補正式は、無限母集団で想定される標本分散と、有限母集団での標本分散が等しくなるように定義されている。
その結果、無限母集団で必要とされるサンプル数 n∞ は、母集団サイズ N を考慮して
と補正される。
以上
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